「水玉サクランボ」
ビックリ箱のように、教室のドアを開けたとたんに飛び出してきたのは、友人の上機嫌な声だった。 「ゆ〜う〜や〜くん!」 歌い出しそうなまでに音を上げ下げしながら勇也に飛びつく。視線の少し下にあった、明るい茶色の頭が視界から消える。代わりにずっしりとした重みが勇也の胸を押す。軽い衝撃に、勇也は「んあ?」と間の抜けた声を出した。 見ると、友人の笹原夏樹が勇也の制服にへばりついていた。一番上まできっちりと閉じられたボタンが、引っ張られてほつれてきている。もともと人からお古をもらったものなのでガタがきている。肘の辺りはこすれすぎて白い光沢を放っていた。 これ以上引っ張られたらかなわないので、勇也は夏樹の肩に手を置いて引き離そうとする。 「何や笹原」 名前を呼ばれると夏樹が顔を上げて、顎を引いた分二人の身体の間に空間が生まれる。勇也は身を引こうとするが、今度は逆に夏樹に腕を掴まれて引っ張られた。夏樹の足が勇也の体勢を崩すようにしてさりげなく勇也の足を払う。勇也は前のめりになって、そのまま夏樹に引きずられる。小柄とはいえ柔道をやっているだけあって、力を使わなくても相手をねじ伏せる法を心得ている。 入り口から一番近くの空席に勇也は下ろされた。席の主であるクラスメイトの女子は、教室の後ろの方で女友達とおしゃべりに興じていた。机の上には彼女のものであろう、くしや手鏡などの入った花柄のポーチが置き去りにされている。 「ちょっとじっとしてて〜」 抗議の声を待たずして夏樹がいつもより1.5倍くらい大きい笑顔を浮かべながら勇也の後ろに回る。普段から夏樹の笑顔は見慣れているが、口を横に大きく引いた笑みを浮かべているときは要注意だ。何かをたくらんでいる。 しかし死角にいるので夏樹が何をしているのかはよく判らない。朝練帰りなので疲れて抵抗する気も起きず(それを言ったら夏樹も柔道部の朝練があったはずだが、ずいぶん元気なものだ)黙って座っている。 机に肘を載せて体重を預けると、頭の方に何かが触れた。髪の毛の中で何かを探るようにして這う。夏樹の指だった。 頭を動かそうとしたら視界の端に浩二が見えたので、勇也は頭を止める。何故か仁王立ちしたままカメラを構えている。浩二のトレードマークは黒縁の眼鏡にカメラだが、カメラの方は当然いつもは持ち歩いていない。浩二が作った新聞部の活動がある、放課後のときにだけ出現するアイテムのはずである。性能は良いらしいが機械音痴の勇也には機種名は判らない。 動けないまま「おはよう」と言うと同じ言葉が返ってきた。その間、身体は不動の仁王立ち。 前にはカメラを構えた浩二、後ろには勇也の髪をいじる夏樹。勇也もさすがに頬に力が入り始めた。口元が引き締まり、かすかなくぼみを作る。何なんだ、というよりむしろ髪が引っ張られて痛い。 「な、何しとん?」 恐る恐る視線だけを後ろに向ける。見えるのはせいぜい今日の連絡事項が書いてある横黒板だけで、夏樹の姿は肘がかすかに見え隠れする程度だ。 「いーからいーからぁ〜。動かないのー」 俺は良くあらへん。心の中で即答するが、夏樹の馬鹿でかい「くし借りるねー!」という声にもみ消された。夏樹の手が机の上にあったポーチに伸びる。勇也からは見えないが何らかのリアクションがあったのだろう。 気づけば、周りの声がかなり近くなっていた。横目でさっと確認すると、心なしか黒い制服の影が先ほどよりも増えている気がする。 夏樹がくしを通すと、絡まった髪が上に引っ張られて肌が突っ張った。風呂上りも朝もブラッシングということをしないので、勇也の髪はいつもぼさぼさだ。一塊になった髪の束があちこちにはねている。 夏樹も途中でくしを通すことを諦めて、くしを机の端に置いた。仕上げに髪の上の方が全体的に引っ張り上げられる。カチカチと軽い音が聞こえたかと思うと、夏樹が離れた。 「よし出来た!」 頭の上に残る違和感。髪を引っ張る夏樹の手は離れているはずなのに、未だに頭皮は痛い。しかも、何かが載っているような気がする。 正体を突き止めようと勇也が自分の頭に手を伸ばしかけたとき。夏樹が状態を横に折り曲げて、勇也の顔をのぞきこんだ。 「……ぶっ」 それが着火音だったかのように、突然目の前で笑いがはじける。 「あっはははははははっ!」 文字通り腹を抱えて夏樹が笑い出す。腹に腕を当てて身体を直角に折り曲げた。笑いの強弱によって、角度が大きくなったり小さくなったりする。後ろによろめいて、足の付け根が机を押した。がたんという音が笑い声に混じる。 「やっべぇー!」 「写真撮って良いかっ?」 次々に笑いが伝染していって、机を叩く音、黄色い悲鳴が飛び交う。一瞬明るい光がクラスメイトの顔を照らした。浩二がカメラを構えていたので、カメラのフラッシュだとすぐに判った。 今度こそ違和感のある辺りに手を伸ばすと、指の腹が何やらツルツルした物を撫でた。角度を変えて触れていくと、球体であることが判る。それが二つある。 少し遠巻きに見ていた女子もくすくすと笑っていた。顔を見合わせて時折ちらりと勇也の方を見る。勇也と目が合うと、慌てて後ろを向いた。 女子の一人が口元を押さえて勇也の隣までやってくる。勇也が今陣取っている席の子だ。自分のポーチから折りたたみ式の四角い手鏡を出して、勇也に寄越す。太い線でデフォルメされたキャラクターが書かれていた。 使い慣れない手鏡を少し戸惑いながら開く。小さな枠の中に勇也の顔が映し出された。鏡を傾けながら、勇也は自分の頭の上を見る。 白い水玉の入った、赤くて大きなサクランボみたいな髪飾りが、勇也の左側の髪をちょこんとくくっていた。 「何やねんコレぇぇっ!」 笑い声を押しのけて勇也の絶叫が響く。手鏡をつぶさんばかりの勢いで拳を握り締め、勇也は勢いよく立ち上がった。吹き飛ばされたイスが後ろの机を押し、さらにその後ろの机にぶつかる。傾いた机からくしが落っこちた。 ぼんぼん飾りのついたゴムだ。勇也も妹が似たようなゴムをつけていたのを見たことがある。それは判る、問題はない。 問題はなぜそれが勇也の頭の上についているかということだ。 勇也は顔を横に向けて夏樹の姿を探す。勇也の視線から逃れるように、人だかりが後ろに引いた。 夏樹は腹を押さえたまま机と机の隙間にうずくまっていた。もはや勇也の姿などアウト・オブ・眼中だが、笑いはまだ止まっていない。 勇也は机を物ともせず跳ね飛ばしながら直線的に夏樹に歩み寄る。夏樹の正面に立ち、足元でうずくまる黒い物体(もとい夏樹の背中)を見下ろした。 「さ〜さ〜は〜ら〜……」 低い声で名前を一文字一文字夏樹に投下する。夏樹は目尻ににじんだ涙を拭って、笑いで小刻みに震えながら勇也を見上げる。見た瞬間、夏樹がまた「ぶっ」という音を立てて破裂した。再び笑いの渦の中に引き込まれる。怒っている人物を目の前にする態度ではない。「腹いて〜」と涙を流している。 「まーまー」 代わりに浩二が勇也の肩を軽く二回叩いた。浩二もきっちり顔が笑っている。いつでも写真が取れるよう、カメラのスイッチに指をかけている分だけ、もしかしたら浩二の方がたちが悪いのかもしれない。 「さっき落とし物で拾ったんだよ。きっと勇也君に似合うと思いまして」 新聞部部長必殺営業スマイルと業務用の大人びた口調できっぱりと言う。勇也が口を開きかけたところに、光が飛び込む。パシャリと一枚。目を焼かれかけて、勇也は怒るよりもまずとっさに顔を伏せた。 「落とし物を持ってくる時点でどうかと思うんやけど」 冷静な突っ込みを入れるものの、ぼんぼんをつけた間抜けな状態では真面目なことを言えば言うほどギャグになる。格好と言動のギャップが受けたらしく、浩二も堪えきれずに吹き出した。笑いながらもカメラはきっちり構えている。さすがの写真家魂だ。 「勇也君かーわーいーいー」 笑いで声を震わせながら、夏樹が勇也の神経を逆なでするようにわざと間延びした口調で言う。立ち上がることは諦め、笑いに徹することにしたらしく、未だ屈んだままだ。 もう嫌や。とりあえずこれ取ろう。そうしよう。 いい加減勇也の堪忍袋の緒も限界だった。友人のいたずらに激怒するほど子供ではないが、これ以上醜態をさらす気はさらさらない。勇也の抱く「漢」と書いておとこと読む信念に反する。大の男が頭に可愛らしいゴムをつけてたまるか。 そう思ってぼんぼんに勇也が手を伸ばすとガタガタドッタン。入り口の辺りから響いた強烈な効果音によって手の動きは遮られた。 通常ではありえないほどの力で開かれたドアは、上下のレールから外れ傾いていた。もしかしたらどこかにヒビが入ったかもしれない。 ドアの前に立っていたのは、安倉だった。学ランのボタンはすべて開いていて、下に着ているシャツも数個ボタンが閉まっていない。第三ボタンの上からたくましい首筋がのぞいている。部活終わりのせいかはたまた全力ダッシュしてきたせいか、汗が伝っていた。 教室内がしんとなる。物音に驚いて何事かと近づいてきた他クラスの生徒が、恐る恐る廊下から教室の中に視線を向けている。安倉の表情はうつむいているため判らない。 緊張が走る。とんでもないことになりそうで、誰も口を開きたがらなかった。夏樹の笑いもついに止まる。座ったままだと机が邪魔で頭が隠れるので、夏樹は膝で立ち目から上だけをのぞかせた。 「げ」 不意に声が漏れる。同時に顔が引きつった。口の端が変の方向に曲がる。 「あ、マズい」 浩二が夏樹の心境を口にした。状況がいまいちよく判らない勇也が、首を傾げる。 「あ、安倉……?」 クラスの違う安倉が何故いるのか不思議でならなかった。朝練が終わった後途中までは一緒に来て、階段を上ったところで別れたはずである。一年の頃同じクラスだった浩二や夏樹に会いに、たまに教室に遊びに来たりはするが、ほとんどは時間のある昼休みだ。 安倉が顔を上げる。細めのつりあがった目が勇也を捉えた。数秒間凝視する。にらんでいるようにも見えた。入り口付近にいた女子が、おびえるようにして友人のいる教室の奥に引っ込んでいった。まるで草原に降臨した肉食獣だ。 安倉は突然がくりと膝を折り、床にひれ伏す。何が起こるのかと観客の顔が引き締まるが、安倉はその場から動かなかった。口を押さえてプルプル震えている。 暴れだす様子がないのでクラスメイトはほっとした様子で雑談を再開する。ざわめきが湧き水のように教室を浸食していくが、安倉を見た夏樹と浩二は、一瞬で笑いを消した。嵐の前の静けさ、という言葉がよぎった。 「どっ、どないした安倉? 気持ち悪いんか?」 安倉の様子を勘違いした勇也が、足を一歩踏み出す。 「あ、バカ」 浩二は制止の声を上げる。反射的に手を伸ばすが、もう少しで届きそうなところで勇也がもう一歩分離れていく。最終警告は勇也に届かなかった。 浩二のカメラが下に落ち、首から下げられている紐を引っ張る。軽くパウンドして宙を掻いた。 勇也が安倉に駆け寄る。おいしいおいしいサクランボのような、頭飾りを乗せたまま。 「安倉?」 勇也が目線を合わせるようにしゃがみ込むと、黒い影が勇也の目の前を覆った。ガシィッという効果音が聞こえてきそうだったが、実際に音をたてたのは安倉に押しのけられた机だった。 「おわっ!」 いきなり身体を包み込んだ圧力に、勇也が声を上げる。抱きしめられた。というより締め付けられた。 安倉の太い二の腕が勇也の肩を挟み込む。硬い筋肉が肌を押した。理性が飛び掛っているので力の加減がない。むしろ少量の興奮に助長された腕力が、勇也の骨を圧迫する。骨のきしむ音が勇也の耳に聞こえてくるような気がした(さすがにそんなことはないが)。 「かっ……」 ついに骨にヒビが入った音かと思いきや、それは安倉の呻き声だった。後半にも言葉が続いている様子だったが、口ごもっていて一番近くにいる勇也にも聞き取れない。ここにきてやっと安倉から漏れた第一声がこれだ。 「か?」 息苦しい中で、短い声だけがかろうじてだせた。どういう意味や、という問いは苦しさのあまり息を吸わなければならなかったので断念した。安倉の締め付けが強すぎて、わずかな量の空気しか肺に溜まらない。 安倉の頭が勇也の耳のところまで下がってくる。勇也の鼻が解放されて、涼しい空気がのどを通っていく。逆に耳にかかる安倉の吐息は温かかった。 「可愛い……」 低い安倉の声はしっかりと耳に入り込んできた。肌の表面を撫でていくような優しさを含んだその言葉が、今まで夏樹や浩二が言っていたものと明らかに違うニュアンスを含んでいることに勇也は気づいていない。 「何言っとんねん、お前までからかうなや!」 わめきつつ安倉の身体を押すが、体制が悪いせいで簡単に抱き直されてしまう。不毛な攻防戦を繰り返しながら、勇也は諦めずに力を振り絞った。空手ならば安倉に負けはしないのだが、純粋な力となると運動が趣味だという安倉にはどうしても叶わない。 安倉の腕の中で「俺が何したん!」と勇也は叫んだ。勇也の位置からは見えなかったが、安倉は目を細めて幸せそうに微笑んで、さらに強く抱きしめる。勇也の潰れたような「ぐえっ!」という悲鳴が、ざわめきの戻った教室に場違いに響いた。 少し離れた位置で眺めつつ、浩二は「諦めたら良いじゃん」と呟いた。もちろん大きな声では言えない。 「あ〜あ、やっちゃったな」代わりに浩二は少しも反省していなさそうな淡々とした口調で言った。「ありゃ狼の前に兎が焼き肉のタレ浴びて出てきたようなもんだぞ」 「ど、どーしよ浩二! 勇也の貞操がッ!」 隣で夏樹が右を向いたり左を向いたりしておろおろしながら、おおげさに叫ぶ。安倉が同性愛者だと知らない夏樹は、まさか勇也に本当の貞操の危機が迫っていることを知る由もないだろう。 だからといって大勢の前で勇也を押し倒すほど安倉も非常識ではないので、浩二は冷静に、首から提げたカメラに手を当てて「写真売ってやるか……」などと考えていた。 勇也の身を案じてか、はたまた男同士が抱き合う(正確には一方的に抱きしめられている)シチュエーションに反応してか、女子の高い声のざわめきが大きくなっていった。時折黄色い声が混じる。写真をばら撒いたら結構な人数の女子が集まるだろう。安倉も勇也も、空手で全国大会まで行っているだけあって女子に人気はあるのだ。安倉はゲイ、勇也は鈍感なので本人たちにあまり自覚はない。 それらとは違う女子の声がもう一つ、廊下から飛び込んできた。止まっても慣性の法則で膝まであるスカートの裾が進行方向に流れる。 「赤桐君、逃げて……」 眼鏡をかけたその顔は、知人のものだった。 「遅かったね、戸田さん」 安倉たちのいる方とは反対の、教室の後ろの入り口から顔を出した女子に、浩二が言う。戸田は長いストレートの髪を半分顔に垂らした幽霊のような姿のまま、眉を八の字に下げる。 髪の毛を掻き揚げながら、戸田は首を横に向けた。学ランのせいで黒くていびつな丸い物体のように見える安倉と勇也が、入り口の前に転がっていた。 「そのようね……」 ため息に小さな呟きを乗せて吐き出す。安倉の暴走を止めるのは、同じ部活兼安倉のクラスメイトである戸田の役割だったが、今回は間に合わなかったようである。一年の頃は安倉と同じ中学だった浩二がストッパーの役割だったが、二年に上がる際に完全に戸田にその役目を引き渡した。 戸田が真面目な性格なのと密かにとだが安倉を慕っているのとで最近はおおむね安倉の暴走は押さえられていたが、久々に派手にやらかしてくれた。その原因は夏樹と浩二のいたずらなので、浩二も反省していなくはない。 戸田は黒板の上にかけてある時計を見て、チャイムまで二分少々の猶予があることを確認してから教室の中に入った。 「ごめん、私がしくじった」 浩二の横に並んで、戸田はばつが悪そうに眉をひそめて口を開く。 「さっき廊下から赤桐君が髪飾りつけているのが見えて」 「うっかり安倉に漏らしちゃったと」 「そう」 「別に良いさ」 浩二はきっぱりと言った。視線は戸田の方を向いていない。安倉と勇也の方……写真の「素材」をじっと見ている。黒い瞳は動かないが、実は被写体が一番良く映える場所をじっくりと探っているのだ。 浩二にしてみればどちらかと言えばネタの方が大事だ。勇也には悪いと思いつつ、しっかりフラッシュをたく。レンズに向けられる浩二の瞳は眼鏡越しでもはっきり判るほど真剣だ。 黒縁眼鏡のせいでごまかされがちだが、素材は整っている顔立ちが、研ぎ澄まされたように輝き出す。浩二に気のある女の子なら思わずどきりとしてしまったに違いない。こんな状況なのにものすごく良い顔つきだ。戸田は呆れて二度目のため息をついた。 戸田は浩二越しに夏樹の方に目を向けるが、夏樹は浩二に助けを求めるような視線を送るばかりで動けなかった。いくら柔道をやっているとはいえ、暴走している安倉に近づこうとする勇気まではない。馬に蹴られて死んでしまう。 かくてこの場を納めてくれる人間がいないのだと悟り、戸田は諦めて乱れた髪を指で梳く。顔を上げて、すっと息を吸い込んだ。 「もう少しでチャイム鳴るわよ! 馬鹿やってないでさっさと机を片付ける! 席に着く! そして一番の馬鹿は教室に戻る!」 高らかに言い放ち、戸田は安倉に飛び掛っていく。その後女の子ばかりにやらせておくわけにはいかないとすぐに夏樹も加わった。浩二は面白い絵を何枚か撮った後で、ようやく参戦する。安倉は数分間の攻防戦の末、チャイムによって鎮圧された。 後にこの事件は「ぼんぼん事件」として新聞部の号外を飾るが、そこに掲載されたのとは違う勇也の写真が後日大量に出回ったことに関しては、新聞部部長である浩二は何もコメントしなかった。 しばらくするとすぐに忘れられていったささやかな事件だったが、この後勇也がいっそう鏡とくしを使わなくなったという。そして勇也の妹の髪飾りからしばらく丸い飾りのついたゴムが全面廃止されたことは、あまり知られていない。 Fin. なるべく台詞だけは原文に沿ったつもりですが(原文はコチラにアップしてみました)浩二と夏樹の台詞は私のイメージするキャラクターの性格に合わせてところどころ台詞を入れ替えています(あと、私は縦書きを意識して書いているので、基本「!」「?」などの記号は二つ以上並べて使わないようにしています)。安倉の暴走振りはまんま私のイメージどおりでした。安倉は暴走しているのがデフォルトですから(笑)。 メールで送られてきた小説に加筆するのは楽で良いな〜と思いつつ、好きなキャラの好きなタイプの話しか書き直さないのが難点。最近開き直ってコメディかほのぼの系の話しか書いていません。しかもBLか版権物しか書いていません。良いのだろうかこれで……。 |